矢崎理論(旧)ブログ 低血糖症バージョン他

膵臓が反応過剰になって大量のインスリンを産出すれば、血糖値は異常に低く落ち込み・脳と神経系から酸素を奪ってしまい、一連の不快な低血糖症状を起こします。

http://mariyaclinic.jp/a_clinic/a_r2doct/a_r2doct004.html





ただ、検査結果表に書かれている溝口先生の文字によれば、

たんぱく質が不足 

鉄、亜鉛、少ない

血糖調節が困難、空腹感強く、満腹感なし』 とあります。



先生は血液検査のデータを見ただけで、

わたしの身体にどんな事が起きているのかを、

読み取る事ができます。


確かにその時のわたしは、

うつ・パニック症状に加え、かなりの強い過食を持っていました。



これも低血糖症を経験した、今だからわかるのですが、

体内が低血糖状態になると、血糖値が低く下がっているため、

常に空腹感を感じていたり、何か食べたい衝動に駆られます。



当時のわたしは、1時間ごとにおなかが空いていました。



たとえば12時にお昼を食べても、1時になる前に、

もう、お腹が空いているのです。

(実際には先ほど食べたものが、まだ胃に残っているのに、です)




これは、血糖調節がおかしくなっている状態を意味します。




うつの場合、多くの方のケースで、「過食」も伴うようですが、

これは、うつが、低血糖症から来ていることの裏付けとも言えます。

http://ameblo.jp/teikettou-kiseki/entry-11041118771.html







ヘモグロビンは基準値内でも、貯蔵鉄が著しく低値の場合、まず 食欲のコントロールが できませんし、
強い疲労感、頭痛、無月経などの原因となるため、治療上重要なポイントになります。


ビタミンB群や鉄・亜鉛・タン白質などの栄養素をしっかり補充していくと、そのような強 迫観念(「ねば・べき症候群」)が改善していくことが多いです。

http://www.clinic-hygeia.jp/ex/ex-05.html



青少年期から低血糖症の患者は、低血糖の異常状態に慣れていて、それを通常の状態であると誤認していることもあります。
低血糖症がもたらす他の症状のために来院し、検査の結果、低血糖症であることがわかり、
治療して後、体質も性格も変わり、自分の健康状態、正常な状態を知って驚くことも多くあります。

低血糖症精神疾患治療の手引き」マリヤ・クリニック院長 柏崎良子、イーグレープ





                                                                                • -

20代前半の若い患者様のケースです。




・ うつ症状がある
・ 涙もろい
・ 落ち込みやすい
・ パニック症状(動悸など)があり、外に出られない
・ 上記の症状がひどくなると自傷行為リストカットなど)をしてしまう
・ 人と会いたくなくなり、出かけなくなった
・ 特に月経前 に症状がひどい
・ 鎮痛剤が効かないほど生理痛がひどい




といった症状があり、当院 を受診されました。


当院で行った血液検査 では、以下のような様々な栄養欠乏 が見られました。




・ 強いタン白質不足
・ 全体的なミネラル不足(鉄・亜鉛カリウム・カルシウムなど)
脂肪肝の傾向
・ ビタミンB群不足
低血糖の傾向




などです。




症状から機能性低血糖症 が強く疑われたため、5時間ブドウ糖負荷試験を行ったところ、典型的な無反応性低血糖症のパターンを示しました。




低血糖症には大きく分けて、反応性低血糖症と、無反応性低血糖症があります。




無反応性低血糖症とは、名前のとおりブドウ糖負荷に対して血糖値が上昇しない、あたかも反応していないようなパターンを呈するタイプの低血糖症です。




正常では、ブドウ糖負荷により血糖値は負荷前より50%以上上昇します。
そして、最低値が負荷前の80%未満にはならないのが正常です。
(機能性低血糖症の診断基準についてはこちら )




反応性低血糖症とは、血糖値はブドウ糖負荷に対して50%以上上昇しますが(時には200以上に異常に上昇する場合もあります)、
その後異常に血糖値が急激に下降し、低血糖に陥るというパターンです。


割合としては、無反応性低血糖症よりも反応性低血糖症のほうが圧倒的に多いです。




無反応性低血糖症は、実際にはブドウ糖に反応していないわけではなく、
30分より短いスパンでインスリンの異常分泌→血糖値の下降が起きているために、
データ上反応していないように見えているというだけであり(ブドウ糖負荷試験では30分おきに採血を行うため細かい変動をキャッチできない)、
実は反応性低血糖症より重症である場合が多いと言われています。




強い うつ症状 を呈したり、リストカットなどをする場合、このパターンが多いと言われています。




この患者様には栄養素の処方を行うとともに、
食事の指導(甘いものを控える、タン白質・野菜等を中心に食べる、主食は減らしてGI値の低いものにするなど)をさせていただきました。




そして先日、3ヵ月後の採血のデータをもとにカウンセリングをさせていただいたところ、とても改善していると報告してくれました。




・ 落ち込みにくくなった
自傷行為がなくなった
・ 家族から「一体今日は何時に帰ってくるの?」と言われるほど、外に出ることが多くなった(*もともと外交的な患者様のようです)
・ 精神的にとても楽になった
・ 仕事をやめたが、まあいいか、と思える(前はとても落ち込んでいた)
・ しばらく甘いものをやめていて調子がよかったところに、久しぶりにケーキを食べたらパニック症状が出たので驚いた




とのことでした。




血液データも大変素晴らしく改善されており、とても喜んでいらっしゃいました。




低血糖症の改善には個人差があり、改善にはもっと時間がかかる場合も多いのですが、とても素直に改善されたケースでした。


しかし月経痛がまだ改善できていないので、栄養素の処方を変更して栄養療法を続けていただく予定です。

http://ameblo.jp/hygeia/entry-10042656508.html




低血糖症は、ただお腹が空いたから下がった、と言う単純な意味ではなく、糖をもとにして「エネルギーを作る」という、
私たちが生きていく上で非常に重要な機能がうまく働かなくなってしまう、といういわゆる「代謝異常」の状態を意味します。


このような「機能的に血糖の調節がうまくいかなくなり、血糖が下がってしまう」と言う病態を「機能性低血糖症」と呼びます。(以下低血糖症と呼びます)



低血糖症では一体どんな症状が起こるのでしょうか。


パーボ・エイローラ博士によると低血糖症の症状は次のようなものです。



極度の疲労

うつ

不眠

不安

いらいら

頭痛

めまい

発汗

震え

心悸亢進(心臓の動悸)

筋肉痛と腰痛

拒食症(明らかな食欲不振)

発作的に泣く

恐怖症(理由のない恐怖)

集中力の低下

感覚麻痺

慢性消化不良

精神錯乱

手や足が冷たい

目のかすみ

筋肉の引きつりまたはけいれん

筋肉痛

非社会的あるいは反社会的行動

落ち着けない

肥満

ふらふらする

腹部のけいれん

失神あるいは意識消失

ひきつけ

自殺傾向



これらの症状は低血糖症の患者様が訴える症状を、頻度が多い順に書いたものです。


他にもこれほど多くの症状があります。



忘れっぽい

神経過敏

たえず気がかり

食間のがつがつした飢え

優柔不断

性衝動の欠如(女性)

甘いものへの渇望

インポテンツ(男性)

不機嫌

アレルギー

”気が狂いそうになる”感じ

筋肉運動の協応ができない

皮膚のかゆみと蟻走感

息が切れる

発作的に息苦しくなる

ためいきとあくび

意識がなくなる

夜驚、悪夢を見る

口が渇くあるいは暑い

耳鳴り

汗のにおいや口臭

かんしゃく

突発的に熱が出る

音と光に敏感



当てはまるものがありましたか?

これらの症状がひとつでも当てはまれば低血糖症である、と言うわけではありません。

健康な人でも、病的でなくても一過性に低血糖に陥ることがあるからです。

しかし上記の様々な症状(一般的には原因不明とされたり、精神疾患と診断されてしまうような)の原因が、実は機能性低血糖症である、というケースがかなり多く存在するのです。

http://www.clinic-hygeia.jp/blog/2006/12/-1.html





機能性低血糖症(以下、低血糖症)は、血糖値が低い状態が続いたり、急激に血糖値が低下するなど、
常にある一定の範囲内にコントロールされているべき血糖値のコントロールがうまくいかなくなる状態です。

その結果、ホルモン分泌や自律神経のコントロールの乱れを引き起こし、様々な自律神経失調症状・精神症状などが起こります。


多くの場合、「低血糖」は「糖分が足りないために起こる」と考えられがちです。


しかし、機能性低血糖症の場合はそうではなく、砂糖やブドウ糖果糖液糖を含む食べ物や飲み物、白米や白パンなどの「単純な糖質」の過剰摂取によって起こってしまうのです。


何故そんなことが起こるのでしょうか?


その説明をする前に、血糖とは何のためにあるのか、血糖値がふだん私たちの体の中でどのようにコントロールされているのかをみていきましょう。



血糖(血液中のグルコース)は、エネルギー源として人体には必要不可欠な物質です。
人体はグルコース以外にも脂肪酸アミノ酸、ケトン体などをエネルギー源として使いますが、血液中で最初にエネルギーとして使われるのはグルコースなのです。
特に脳のエネルギー源はグルコースであり(たまにケトン体も使います)、
また脳はグルコースを蓄えることができない(40秒間に消費してしまうと言われています)ので、常に安定した血糖値を保っておくことが必要です。


つまり、血糖値というのは人間にとってとても大切であるため、一定の範囲内(80〜110mg/dl)にコントロールされるような仕組みを持っているのです。


血糖値の調節には自律神経とホルモンが関係しており、具体的にはたらくのは以下のホルモンです。


血糖値を下げるホルモン:インスリン

血糖値を上げるホルモン:成長ホルモン・甲状腺ホルモン・副腎皮質ホルモン(コルチゾール)・副腎髄質ホルモン(アドレナリン・ノルアドレナリン)・グルカゴン


血糖値を上げるホルモンは沢山あるのですが、下げるホルモンはインスリンしかない、と言う点に注目してください。


血糖値を一定の範囲内に保つという目的のために、これらのホルモンが私たちの体内では常に適宜分泌され、血糖値の微調整が行われています。


血糖値が下がった時には上げるホルモンが分泌され、上がった時には下げるホルモン(=インスリン)が分泌されます。いわばシーソーのようなイメージです。

http://www.clinic-hygeia.jp/blog/2006/12/-3.html







インスリンは、血糖値を下げる「たったひとつの」ホルモンです。


インスリンが出ない、または非常に効きが悪いため血糖値を下げる効果が発揮できない場合、血糖値が高くなってしまいます。これが糖尿病です。


低血糖症の場合、この逆で、インスリンが出すぎる、または効きが良すぎるために、血糖値の急激な低下や、低い状態でとどまってしまう、という状態が起きてしまいます。


この、

なんでインスリンが出すぎてしまうのか?

というところが問題の部分です。



砂糖やお菓子や清涼飲料水などの精製された糖分を多く摂ると、糖分がすばやく吸収されるために、血糖値が急速に上昇します。


血糖値が上がりすぎるのは人体にとって良くないので、こんどは当然、血糖値を下げようとする反応が起こります。

つまり、インスリンが分泌されます。


血糖値の上昇速度が速いほど、または値が上がりすぎるほど、それに対応するためにインスリンが過剰に分泌されることになります。


過剰に分泌されたインスリンは血糖値の急降下を引き起こし、一度上がった血糖値は、こんどは逆に下がりすぎてしまうのです。


かくして、低血糖状態が起こります。




簡単に書くと、こうなります。



単純な糖質の摂取

血糖値の急激な上昇

インスリンの過剰分泌

低血糖




この「血糖値が下がるという現象」イコール、低血糖症、というわけではありません。
血糖値が下がること自体は健康な人でも起こりうることです。


しかし、このような状態が頻繁に起こることにより、ホメオスターシスによって厳密に行われるべき血糖のコントロールが、次第に破綻してゆくのです。

低血糖症の続きです。

(初めての方は低血糖症の恐怖1からお読みください)


・ イライラして、キレやすい
・ ちょっとしたことにカッとなる
・ 自分を抑えられない
・ 暴れる、攻撃的になる
・ 落ち着きがない


・ 何をしても楽しくない
・ 憂うつだ
・ 気分が優れない
・ 自分はだめな人間だ
・ 死んでしまいたい


・ お腹が空いて仕方がない
・ いつも食べ物のことばかり考えている
・ いつも甘いものが食べたい
・ 食べ始めるととまらない
・ 過食が抑えられないが太りたくないので吐いてしまう


・ 不安になりやすい
・ 人ごみや満員電車に乗ると胸がドキドキして苦しくなってしまう
・ 何も理由がないのに突然胸が苦しくなったり痛くなったりする
・ 何も理由がないのに突然悲しくなり泣いてしまうことがある


・ 疲れやすい


・ 肩がこりやすい


・ 手足が冷えやすい


・ 不眠傾向がある




これらは全て、低血糖症によって起こりやすい症状です。

低血糖症がこれらの「主要な」原因でない場合でも、低血糖症がこれらの症状を修飾するのに関与している場合が多くあります。


低血糖症では何故このような症状を起こすのでしょうか?



前々回に書いたように、血糖値をコントロールしているホルモンは、シーソーのようにバランスを保ちながら血糖値の微調整を行っています。


血糖値が上がるのもよくないのですが、血糖値が下がってしまうことは人体にとってさらに危険な状況なので、血糖値を上げるホルモンは数多くあります。



<血糖値を上げるホルモン>


成長ホルモン
甲状腺ホルモン
グルカゴン
副腎皮質ホルモン(コルチゾール
副腎髄質ホルモン(アドレナリン・ノルアドレナリン



低血糖症では、下がった血糖値を上げようとしてこれらのホルモンが多く分泌されることになります。


この中で特に低血糖症の症状を起こす主役的な働きをするのが、アドレナリンおよびノルアドレナリンと言うホルモンです。


これらは「攻撃ホルモン」と呼ばれるホルモンです。
通常これらは、生命の危機など、非常に強いストレスにさらされた時に多く分泌されます。


ストレス(精神的・身体的侵襲)にさらされた時、体はこれらのホルモンを分泌してその危機に対応しようとします。


例えば野生動物がライオンににらまれた瞬間、危険を察知して全身の筋肉は緊張し、瞳孔は開き、血管が収縮して心拍数と血圧が上昇します。
言うなればその瞬間「戦闘モード」に入り、全神経を集中してダッシュして逃げるわけです。


低血糖症では、これらの攻撃ホルモンが本人の意思と関係なく突然大量に分泌されたり、または頻繁に分泌されてしまう、と言うことが起こっています。


言うなれば「常に戦闘モードに入っている状態」なわけです。


そう考えると、なぜ低血糖症の方たちがイライラしたり、怒りっぽかったり、キレたりする理由が理解できます。


また、アドレナリンは攻撃性を高めますがノルアドレナリンはその逆で、不安な気持ちやネガティブな感情を惹起してしまいます。


なので、必ずしも攻撃的になるというわけではなく、うつや不安、動悸などのパニック障害、突然の感情の変化などの症状となって現れる場合もあります。



低血糖症の患者様は、冒頭の症状のように、大きく4つのパターンに分けることができます。


「キレやすいタイプ」


「うつタイプ」


過食症タイプ」


パニック障害タイプ」


です。(他にもあるかもしれません)


これらのパターンは重なっていることが多く、そしてほとんどの方はどのパターンであるかに関係なく、


・ 疲れやすい
・ 肩がこりやすい
・ 手足が冷えやすい
・ 不眠傾向がある


などの様々な症状を伴っているのです。


これはホルモンが異常な分泌をされることにより、自律神経失調状態になっているためです。


そして断言しますが、このような状態では間違いなく“栄養欠乏”が存在します。


種々の栄養素の欠乏により自律神経失調症状はさらに悪化し、具合が悪いために食事をきちんと摂るという努力がことさら難しくなるため、さらに低血糖と栄養欠乏が進みます。


そしてさらに症状が悪化する、という悪循環です。



この悪循環から抜け出すことは、実際とても難しい。



ということは、想像するに難くないでしょう。

http://www.clinic-hygeia.jp/blog/2006/12/21/



しかし、こういうものを食べ続ければ「誰でも」機能性低血糖症になるのかと言うと、そうではありません。(低血糖症までならなくとも体調は良くないとは思いますが)


そのようなものを食べること自体ではなく、「食べ方」にも関係しますし、
このような血糖調節異常(大きくは低血糖症だけでなく糖尿病も含まれます)を起こすには、体質的な要因が大きく関係しています。


また、同じように低血糖になっても、体内環境が違えば必ずしも症状を起こすとは限りません。


血糖値の低下があっても、充分に栄養素が摂れていて、それに対応できる十分な自律神経の働きがあれば、必ずしも症状が起こるわけではないのです。



機能性低血糖症になりやすい体質や条件には、以下のものが挙げられます。



・ 先天的に消化機能が弱い(栄養欠乏を来たしやすい)
・ 食生活の偏りや様々な原因による栄養欠乏(タン白質・ビタミン・ミネラル等の不足)
・ 貧血(および潜在性鉄欠乏)
・ 先天的または後天的な膵臓機能の障害(インスリンレセプターの異常やインスリン抵抗性、インスリン抗体の存在など)
・ アレルギー体質(副腎に負担をかけやすい)
自律神経失調症(栄養欠乏により起こりやすい)
甲状腺機能障害(血糖の調節異常を起こしやすい)
・ 先天的にビタミンの必要量が多い(通常よりビタミン不足を起こしやすい)
・ ストレス過剰(アドレナリン・ノルアドレナリンを分泌しやすい・栄養素の吸収が低下しやすい)
・ アルコール・タバコ・カフェインの過剰摂取(栄養素の吸収障害・血糖の調節異常を起こしやすい)



先天的に消化機能が弱い場合、タン白質やビタミン・ミネラルなどの栄養素は吸収しにくいのですが、
糖分だけは吸収されるため、低血糖症を起しやすくなります。


糖質が過剰になる食生活では、タン白質やビタミン・ミネラル等の栄養素が不足することが多いため、
ホルモン分泌や自律神経等のホメオスターシスに異常を来たしやすくなります。

その結果、ホルモン分泌のアンバランスや自律神経失調症状を起こします。


また、脳内でカテコラミン(アドレナリン・ノルアドレナリン)に拮抗するだけのセロトニンを産生できれば、
カテコラミンの分泌による症状は抑えることができますが、
栄養欠乏ではそれらを作るために必要な材料(アミノ酸トリプトファン・ビタミンB6・亜鉛マグネシウムなど)が不足しているため、
セロトニンの産生不足に陥り、症状が引き起こされることになります。


鉄は多くの酵素(含鉄酵素)の材料であるため、鉄欠乏では蛋白欠乏とあわせて酵素活性が低くなりやすく、
代謝の低下が起こり、エネルギー産生の低下による疲労や様々な精神症状・頭痛・自律神経失調症状が起こりやすくなります。


また、体質的な膵臓機能の障害をお持ちの方は、血糖の調節がうまくいかない体質を家族的に持っていることがあり、
低血糖症を起こしやすいと言われています。(家族に糖尿病や低血糖症患者さんがいる場合、低血糖症になりやすくなると言われています)


これらの条件があり、長期間(半年以上)の精製した糖質の過剰摂取を行って膵臓に負担がかかると、機能性低血糖症を発症しやすい、と言われているのです。

http://www.clinic-hygeia.jp/blog/2006/12/-6.html













糖質過剰な食事と言うのはこのように非常にバランスが悪いので、様々な体に必要不可欠な栄養素が不足します。


・タン白質

・脂質(特にω3脂肪酸

・ビタミン類(A・B群・C・E)

・ミネラル(鉄・亜鉛・カルシウム・マグネシウムなど)

・食物線維



それぞれの栄養素についてはまた個々のページを作りたいと思っているので(タン白質については過去ログあり)、
特にうつやキレやすいなど精神的な症状に深く関わっている栄養素について、ここでは簡単に書いてみます。



タン白質は、60兆個の細胞でできていると言われる私たちの体を作っている基本的な材料です。

皮膚も髪も血液も血管も骨も歯も爪も内蔵も神経も脳も、私たちの体は頭の先から爪先まで、すべてタン白質が材料となってできています。

そして私たちの体を作っているタン白質は、必ず古くなると壊れて、細胞が死んでしまいます。

そこで新しくタン白質を作るためには毎日体重1kgあたり1gのタン白質が必要なのですが、このような食事ではおそらく必要な量の半分程度も摂れていないでしょう。

タン白質が足りないとまず新陳代謝が低下します。体力も低下し、疲れやすくなります。

神経伝達物質の材料は多くはアミノ酸なので、タン白質が足りなくても神経伝達物質がうまく作られず、うつやキレやすいなどの精神症状の原因となります。



ビタミンCには、代表的な抗酸化剤としての作用の他に、コラーゲンを作る、鉄の吸収を助ける、免疫力を高める、ホルモンを作る、脂肪酸を燃やす際に必要、などの作用があります。

低血糖症では、血糖値が下がって脂肪酸をエネルギーに変える時にビタミンCが十分ないとエネルギー産生不足に陥り、強い疲労感を訴えることがあります。



ミネラル類も非常に大切です。


鉄は多くの含鉄酵素の材料として必要であり、貧血を招かなくとも潜在的な欠乏により、
うつや疲れやすい、頭痛、だるい、やる気がない、行動障害、不注意、多動、集中力の低下など、様々な症状の原因となります。


亜鉛は細胞が生まれ変わる時に必須のミネラルであり、亜鉛がないと細胞は分裂することができません。

不足すると、成長が遅れる、知能の発達に影響が起きる、味覚異常、皮膚炎、毛髪の問題、
傷のなおりが遅い、免疫力低下、インスリンの分泌低下、興奮しやすい、疲労、混乱などの原因となります。

ある種の「うつ」などでは亜鉛欠乏が主要な原因である場合があります。

そして摂食障害にも非常に深く関係しています。


このようなは問題は子どもたちだけに起きているのではありません。

日本では子どもたちには素晴らしい給食と言うシステムがあるので、家でよっぽど悪い食事をしていて(させられて)いても、給食をちゃんと食べていればまだましです。


読みながら「ヤバイ…」と思っておいでの、いいお年をした方もいらっしゃるのではないでしょうか?


実際にはこのような食生活が長く続くほど栄養欠乏は進行していくので、「年をとるごとに具合が悪くなっていく」のです。

そしてキレやすくなっていく場合もあるでしょう。



これらの栄養素の欠乏が、「血糖値が下がる」ということに加えて、代謝の低下や体調の悪さを起こし、そして私たちを「キレやすく」してしまいます。

しかしこれらの問題は、「足りない」ことによる問題なので、サプリメントなどで補えば解決できる問題です。


ところが、糖質が多い食事を続けると、「摂る量が不足する」だけではなく、「糖質を摂ることでどんどん減っていってしまう」栄養素があります。


それがビタミンB群です。

低血糖症になりやすい食生活、すなわち精製された糖質が多い食生活は、ビタミンB群を消耗し、欠乏を引き起こすということについて書きました。


ビタミンB群の重要な働きのひとつは、「エネルギーを作る」ということですが、それ以外にもビタミンB群は人体においてとても多くの重要な働きをしています。


それぞれのビタミンBについて書いていくと栄養学の教科書みたいになってしまうので、全部まとめてビタミンB群の働きを、かなーり簡単に説明すると、


・ エネルギーを作る
・ 体を作る・成長・発育・うまく働かせる
・ 精神・神経症状を防ぐ
・ 皮膚・粘膜の健康を維持する
・ 薬物代謝・糖質・脂質・タン白質などの代謝
・ 肝臓・副腎皮質・神経・脳・ホルモン・免疫などの働き


などに関係します。


全身どこにでも関係するわけですが、やはり最近注目すべきは、精神・神経・脳に及ぼす影響だと思います。


低血糖症では、アドレナリン・ノルアドレナリンなどの「攻撃ホルモン」が分泌されるため、キレやすい、
怒りっぽい、イライラする、または抑うつ症状、不安、パニック発作など、様々な精神的な症状が起こりますが、ビタミンB群の欠乏でもそれらのような症状が起こりうるのです。


ビタミンB群は「神経ビタミン」と呼ばれ、神経の働きに重要です。


特にB1が重要で、B1の欠乏だけでも、協調性を低下させ、道徳性を低下させると言われています。

なので、B1(チアミン)は「道徳ビタミン」とも言われているほどです。


食事の崩壊により、日本人に多くの行動的・社会的問題が起きていることを指摘し、
食事・栄養を見直す啓蒙活動を行っていらっしゃる大沢博先生の本「その食事では悪くなる―食事崩壊と脳への影響」の中で、
アメリカのメイヨー・クリニックが行ったB1欠乏食の実験について書いてありますので、引用します。
(*本当は直接文献を読んでご紹介すべきですが、私はまだこの文献を読んでいません。不勉強ですみません。時間がないので取り急ぎ引用させていただきます)


「B1欠乏が神経症状を起こすことは、米国のメイヨー・クリニックの実験で確かめられている。
実験志願者の全員が3ヶ月以内に、興奮しやすい、うつ、ケンカしやすい、非協力的、不幸が迫るという感じになった。

そのうちの二人は騒ぎ立て、もう生きていてもしょうがないと感じて、自殺のおそれさえ感じられた。
21週までに彼らはひどい頭痛、吐き気、それに嘔吐が起きたので、実験は中止された。チアミンが補助食品として加えられたら、2〜3日で快活になり、疲れもなくなったという」



また、以前ご紹介した心理犯罪学者のA.G.シャウス氏著、大沢博先生訳の「栄養と犯罪行動」の中では、
ビタミンB群が行動・学習に及ぼす欠乏効果について以下のように書かれています。


B1 : 疲労、記憶障害、精神的混乱、行動障害、興奮しやすい、衝動性、よく眠れない
B2 : 幼児の脳の成長を妨げる、行動問題
B3 : うつ、神経過敏、短期記憶の障害
B6 : 興奮しやすい、疲労、集中力の乏しさ、気分の動揺、よく眠れない
葉酸 : アパシー(無気力・無感動)、幼児の発達遅延、記憶障害、興奮しやすい、引っ込み思案、全ての知的過程の遅れ、うつ、幼児における脳の成長の遅れと麻痺


このように、ビタミンB群欠乏は、様々な精神的な症状、行動の変化を引き起こします。

昔から栄養学の世界では、

「B足りんは脳足りん」

と言われているくらい、ビタミンB群は脳や頭の働きに大切な物質なのです。


精製された糖質の多い食事では、ビタミンB群は欠乏し、単純な糖質を代謝するためにビタミンB群は欠乏には拍車がかかります。
それが長期間続くとなると、必然的にこのような状態になり、そこに攻撃ホルモンの分泌や他の栄養素の欠乏などが重なると、さらに事態は悪化してしまうと考えられます。


それだけでなく、ビタミンB群の重要な働きとして、「タン白質を合成する」というのも大事な働きです。


私達が食べたタン白質は、全部いったんアミノ酸に分解されて、必要に応じて私達にとって必要なタン白質に作りかえられます。
そのためにはビタミンB6が必要なのです。
ですので、皮膚疾患などにも必要ですし、実はこの意味でも精神疾患にも必要なのです。

なぜなら神経伝達物質セロトニンなど)をきちんと作るためには、ビタミンB6が必要だからです。

タンパク質合成に必要なわけですから、体がきちんと作られてうまく働くためにはビタミンB群は必須です。
このため栄養療法においては、どんな病態にも必ずと言っていい程ビタミンB群を使うのです。


また、精神疾患といえばB3(ナイアシン)も大切ですね。
統合失調症うつ病パニック障害などのいわゆる精神疾患にも、ナイアシンを中心としたビタミンB群の至適量の投与が必須となります。


このように、とても大事で、なのに非常に陥りやすいビタミンB群の欠乏にさらに輪をかけるのが、「精製された糖質の過剰摂取」なのです。
それらは、低血糖症の症状を修飾し、さらに悪循環にはまっていく…、というわけです。


いったん強い欠乏が起きてしまったら、欠乏による病態が形作られてしまったら、それを改善するには当然それを補充しなくてはなりません。


栄養療法的にはどのくらいの量を用いるかと言うと、栄養所要量の1mg程度の話ではなく、100〜300mg、病態によっては(神経炎など)1000mgも必要とする場合があります。


話が治療のほうに少しそれてしまいますが、これはもちろん食事からは到底まかないきれない量であり、サプリメント(治療用の)を摂る必要性が出てきます。
ビタミンB1を50mg、食べ物から摂ろうと思ったら、豚のモモ肉だったら4kg、100g入りの納豆だったら700パック、
タマゴだったら1250個食べないと摂れませんので、食事だけでは残念ながら無理なのです。


しかしもちろん食事が大切なのは言うまでもありません。
食事からビタミンB群を摂るためには、まず精製していない穀物、すなわち玄米や全粒粉のパンなどを食べること、
肉・魚・貝類などの動物性食品、新鮮な野菜やくだものなどを、なるべく加工していない形で食べることです。
むろん、砂糖や甘いものは控え、白米や白パンなども少なくしたほうが良いのは言うまでもありません。

低血糖症の方は特に、精製された糖質をやめること自体が治療の軸のひとつになってきます。

http://www.clinic-hygeia.jp/blog/cat28/




低血糖症は、「偉大なる物真似師」との異名をとるように、ありとあらゆる症状を引き起こします。(症状についてはこちら)




機能性低血糖症(以下、低血糖症)は、血糖値が低い状態が続いたり、急激に血糖値が低下するなど、
常にある一定の範囲内にコントロールされているべき血糖値のコントロールがうまくいかなくなる状態です。


その結果、ホルモン分泌や自律神経のコントロールの乱れを引き起こし、様々な自律神経失調症状・精神症状などが起こります。
(初めての方は低血糖症の恐怖1よりお読みください)



今まで、低血糖症とは何か、なぜ低血糖になるのか、精製された糖質を摂りすぎると起こりうる栄養欠乏、などについて書いてきました。


イライラしやすい、キレやすい、うつ、過食、パニック障害、幻覚・幻聴などの精神症状や、
冷えや不眠・動悸などの自律神経失調症状など、一見血糖値と結びつけて考えにくいいろいろな症状が、低血糖症では起こりえます。


ここまでは、「これ、あるある!」という方もいらっしゃれば、「ふう〜ん、でも私にはあまり関係ないかも…」と思われている方もいらっしゃるでしょう。


しかし今日は、多くの方が気にしていらっしゃるであろう「あのこと」と、低血糖症が深く関係している、と言う話です。


そう、「あのこと」とは、ズバリ、肥満です。
(もったいぶりすぎですか?(笑))


実は低血糖症の典型的な症状のひとつと言えるのが、肥満なのです。

そして今はやり(?)のメタボリックシンドロームとも深く関係しています。


肥満とは、低血糖症の症状です。


低血糖症の方が必ずしも肥満になるとは限りませんが(異化亢進のためむしろやせていくことも多い)、
肥満の人にはほとんど低血糖状態がある(もしくは、かつてあった)といっても過言ではありません。


アメリカはご存知の通り肥満大国と言われています。
人口の60%が肥満または過体重です。
日本もアメリカの後追いをして、肥満や生活習慣病が増加しています。
特に子どもの肥満や生活習慣病が増えているのは問題だと思います。


なぜこんなに肥満が増えてしまうのでしょうか?


肥満の原因には、カロリー過剰(糖質・脂肪の摂り過ぎ)、運動不足、ストレス、遺伝的な要因など、いろいろな原因が挙げられるでしょう。


しかし、その中でも主要な原因のひとつと考えられるのは、「精製された糖質の摂り過ぎ」なのです。


このブログですでにご説明しているように、
糖質、特に精製された糖質(砂糖やブドウ糖果糖液糖が入った食べ物や飲み物、白米や白パン、お菓子、様々な加工食品など)を摂ると、
血糖値が急速に上昇するため、インスリンの過剰分泌が起こります。


その結果、血糖値が下がってしまい、結果的に低血糖状態に陥ります。


特にそのような状態が進んで、血糖値のコントロールがうまくいかなくなり、極端に血糖値が下がったり低血糖状態が長く続いたりして、
いろいろな症状を引き起こす原因となっている場合、機能性低血糖症と呼ばれます。


なぜ血糖値が下がってしまうのか?


これはインスリンという、血糖値を下げるたった一つのホルモンが、多く分泌されるためです。


インスリンと聞いて思い浮かぶのは、そう、糖尿病ですね。


糖尿病とは、インスリンの分泌が低下したり、効きが悪くなることによって、血糖値を下げることができなくなり、血糖値が高いままになってしまう状態です。
その結果、網膜障害・腎障害・神経障害などの合併症が起こったり、動脈硬化心筋梗塞脳梗塞などの発生率が上昇します。


広い意味では、糖尿病も低血糖症も、血糖値のコントロールがうまくいかないという点やエネルギー不足になるという点では似通っており、全く異なる病気ではありません。
糖尿病に低血糖症を合併している場合もあります。


これらの血糖の調節は、血糖値を下げる唯一のホルモン、インスリンの分泌状態に左右されます。


インスリンの働きを簡単にまとめると

・前脂肪細胞→脂肪細胞への分化促進
・脂肪細胞における中性脂肪の合成・脂肪分解の抑制
・筋肉におけるグリコーゲン(貯蓄型の糖分)の蓄積


です。


インスリンがどのようにして血糖値を下げているのかと言うと、筋肉や脂肪細胞への糖の取り込みを促進する、と言うことです。
これらは、糖を細胞内に取り込んでエネルギーとして利用するためには必須の作用です。


しかし、血中に糖が過剰に存在してインスリンが沢山分泌されてどんどん細胞内に糖が入ってきたら、どうなるでしょうか?


エネルギーとしてももちろん利用しますが、
過剰になれば、もしくはうまく使われなければ、糖は使われることなく余ってしまうので、脂肪細胞では脂肪として、筋肉ではグリコーゲンとして蓄積します。


肥満を考える上で問題になるインスリンの作用はもちろん、糖から脂肪の合成が促進され、かつ脂肪の分解を抑制されることです。


つまり、インスリンが沢山分泌されていればいるほど、太りやすいのです。


体の中で最も脂肪に変わるものは糖質です。


無脂肪・高糖食により、脂肪酸合成酵素の活性は著しく上昇することがわかっています。
(ちなみに高タン白質の食事ではこのような酵素活性の上昇は見られません)


肥満の方では中性脂肪が上昇しますが、その場合一般的に問題とされるのは、食事中の脂肪の量です。
しかしながら、食事から摂る中性脂肪の量が血液中の中性脂肪値に影響するのもさることながら、
むしろ過剰に摂取された糖分→脂肪への変換が持続的に促進されることのほうが、高脂血症の要因としては大きいと考えられるのです。


血糖値を最も上げにくい(インスリンを出しにくい)食材は、脂肪です。

次がタン白質、その次が糖分なのです。


つまり、最も太りやすい食材は、糖分、特に精製された糖質なのです。


太っている方の食生活を見ていると、かなりの割合で甘いもの中毒になっていることが多いです。
特に清涼飲料水の飲みっぷりはすごいものです。
コーラ(スキっと爽やかなのであまり感じませんが、実は1本に30gの砂糖が入っているということです)や缶コーヒーなどをかなり大量に飲んでいる方が多いです。
アルコールも糖分なので、同様に低血糖を起こしやすい食品です。
もちろん、お菓子やごはんが大好きでやめられない、と言う方も多いです。


精製された糖分をやめられないのは、低血糖になっているために、体が知らず知らずに糖分を求めているのです。
理屈ではなく、食べずには、飲まずにはいられないのです。
こういう人にただ食べる(飲む)のをやめろといっても、タバコと同じで中毒になってしまっていますから、なかなかやめられません。
肥満の方の減量が難しいのは、こういう点にも原因があるのです。


しかしこのようにして、


精製された糖質の過剰摂取

血糖値の上昇

インスリンの過剰分泌

低血糖

また糖質の摂取

(以下繰り返し)


と続けていき、肥満が進行すると…。


その先には言わずと知れたメタボリックシンドロームがあり、そしてその行き着く先は、糖尿病、または動脈硬化心筋梗塞脳梗塞などの生活習慣病です。

http://www.clinic-hygeia.jp/blog/2007/03/-12-1.html